『お客様のかわりはいても、スタッフのかわりはいません(下)』

【インタビュー本文(続き)】

また、戻ってきたいけど通勤の都合でうちには戻れない子には、
業者さんにお願いして、私が見て環境のよい職場に再就職させたりしました。
うちの技術はどこにだして恥ずかしいものではありませんから。

ある日、私の(実の)子供たちが『うちの従業員がさ!』と言ったのですね。

その時に思いました。
私や子供たちが生活できているのは、お客様だけでなく、
この子たちが骨身を惜しまず働いてくれるからだと。

『おまえらが、なんにもしないでごはん食べられているのは、
お姉ちゃんたち(エステティシャン)のおかげだろ!。
今後従業員さんと尊敬を込めて言いなさい』と子供たちには言い聞かせました。
自分で生んだ子もかわいいですが、
私が技術を教えて育てた子も同じようにかわいいですから。

今、自分でサロン経営していて、忙しいのに『先生』と来てくれたりします。
本当にありがたいです。

私の技術は私一代ではなく、子供たちによってこの先ずっと引き継がれていくのだと思うと、
ただただうちで働いてくれたことに感謝の念しかありません。
(話し手:H先生)

 

エステティックサロン黎明期において、H先生は技術も厳しく教えられたでしょうけれど、
人という個人にちゃんと向き合い、個性や人間性を大切にして、
弟子をまた、エステティック業界に送り出されたのだなと思いました。

元居た従業員の1人に聞いたところによりますと、
H先生の手作りお弁当の日はみんな楽しみに待ってたそうです。
H先生は技術者としてでなく、家庭人としてもみんなの『おかあさん』だったわけです。

時代が変わり、店の作りや住まいの形態、生活事情など今はさまざまですから、
このインタビューがすべてに役立つわけではありません。

けれど、今、多くの離職者を出しているサロン、定着しないサロンが多くある中で、
なにかしらヒントになるものがあるのではと思います。

エステは、人と人の出会いから、始まります。

経営者と従業員。
出会った当初は相思相愛でも月日が経つとその関係に変化が訪れることがあります。
スタッフが辞めることでショックを感じるサロンオーナーや管理職が増えているのは、その代表例です。
離れていくのは結果であり、そこには原因があるはずです。

・従業員を『大事』にしているし、お客様も大切にしている

・従業員を『大事』に出来ていないが、お客様は大切にしている

さて、明るい未来はどちらにあるのでしょう。

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